公開: 2021年12月18日
更新: 2021年12月18日
1970年代の銀行オンラインシステムは、NTTなどと契約した専用回線で中央のセンターと支店の端末装置を接続する簡単なものであった。1990年以降のシステムでは、銀行のセンターと駅などの様々な場所に設置されたATMをネットワークで接続するようになった。そのため、利用するネットワークの信頼性が、ATMの利用者に大きな影響を与えるようになった。
2000年以降になると、さらに他の銀行との接続が複雑化したため、ネットワークの障害がシステムの運用停止につながる事例が報告されるようになった。特に、送金処理中にネットワーク故障が発生すると、ネットワークが正常に戻った後の回復処理も、簡単ではなく、どこまで処理を戻せば良いかなどの複雑な問題が懸念されるようになった。このため、ネットワークの接続を多重化して、信頼性を向上させる設計も必要になっている。
このネットワークの多重化も、単にネットワーク提供業者を変えるだけでは不十分である。提供業者が違っても、物理的な回線を提供している企業が同じである場合もあるからである。信頼性を確保する視点から言えば、物理的に異なる回線を経由する方が、安全である。このような、ネットワークの特性に関する問題を深く理解していなければ、高信頼性のネットワークを設計することはできない。